2013年6月30日日曜日

宮古そば集落探訪

会津地方は蕎麦の産地です。
至る地域で蕎麦が栽培されていますが、その中で自分がそば好きの人に薦めるとしたら山都町地域の蕎麦でしょう。

山都町は喜多方市内の西、飯豊山の麓にある地域です。
山都町の蕎麦は、スーパーなどでも「山都そば」として売られているのを見かけるように会津の蕎麦の中でも区別されています。

その山都町地域の中に宮古地区という集落があり、その蕎麦は山都そばの中でもさらに「宮古そば」として区別されています。
ネットやガイドブックなどでも紹介されていますが、そば好きの人達の中ではかなり知名度が高いと思われます。

山都町の中心街から国道459号線を西に入って、山間部をしばらく進むとその宮古地区があります。

約30戸ほどの民家がある山林に囲まれた集落です。

この宮古地区には何年か前にも一度来たことがありますが、そのときと雰囲気がちょっと変わっているという印象を受けました。


以前は、本当にここが蕎麦の店なのかと疑ってしまうほど普通の古い民家ばかりでしたが、観光客が多く来るようになったのか、いかにもそば店らしい看板が目立つようになっていました。
いくつか建物も改装されているようで、以前より綺麗になっていると思います。

しかし中には看板らしいものも無い、やはり一見しただけではそば店だとは気づかないような普通の民家の佇まいの建物も残っています。

ここの蕎麦が美味しい理由としては、この山間地区特有の気候によることらしいです。
確かに、この日は6月下旬でしたが、山都町の平野部ではあじさいなどがほとんど花を咲かせていたのにも関わらず、この地区ではまだつぼみの状態でした。


この宮古地区のそば店はほとんどが予約制を取っています。
今回、私は実は初めてですが、宮古そばを食べてきました。

店は「とのや」さんです。
コース以外でもこちらの予算に応じたメニューを出してくれること、そしてこちらの店のメニューにある「川魚の塩焼きの唐揚げ」なるものを食べてみたいと思ったことで選びました。


店内は農家の民家らしい広い客間(仏壇付き)です。

これが私が頼んだメニューです。
で、宮古そばの味ですが、期待通りの美味しさでした。
食べてみたかった「塩焼きの唐揚げ」も骨まで苦もなく食べられて、これも美味しかったです。

ところで店の看板に「塩そば」というものが書いてあったのですが、尋ねたところ蕎麦に塩を振りかけて食べるものとのことでした。
で、実際試してみたのですが、なかなか美味しかったです。
写真の蕎麦の盛りつけが若干乱れているのは、塩そばで食べていたせいです。


予想外な美味しさだったのが「こんにゃくの刺身」です。
特に頼んでいなかったメニューですが、蕎麦とセットの品だったのか最初に出されてきました。
名前からしてその食感や味を大体イメージしていましたが、どちらも違っていました。
「山河豚」と書いてあった店もありましたが、確かに食感が口の中でとろけるような鮮魚のようでした。
味はこんにゃくの臭みも全くありませんでした。

あと大事なのが「そば湯」です。
容器の底が見えないくらい白濁としています。
そば湯はこうでないと!!

蕎麦を食べに行ったとき、いくら麺が美味くても、最後に出されるそば湯がお湯同然に薄かったりするとがっかりします。
あと麺つゆは猪口の半分くらいで十分なのに、やたらたっぷり入れてくるのも困るものがあります。

ちょっと講釈たれてしまいましたが、ついでに、そば湯にめんつゆでなく醤油を少し入れて飲むのも美味しいです。

「とのや」さんのメニューは最後のそば湯まで美味しくいただけました。
すばらしかったです!
ぜひまた来店したい、けど悲しい哉、他の店にも行ってみたいという気もあります。

「美味しい」ばかりを連発してしまい料理の批評がまるでできないことが判明してしまいましたが、とにかくこの宮古そばを食べて、確かにこれは地元が誇れる蕎麦だと実感しました。


ところでこの地区内を散策して思ったのですが、店の看板を増やしたり、建物を改築したりしたように、蕎麦の集落として今後も発展していくのなら、もう少し土地の景観も意識した方がいいと思いました。
例えば四季折々の植物などを地区で計画して育てた方が、もっとその土地が楽しめる。

各家では好みの花々を育てているようでしたが、地区全体としては繁雑だった印象を受けました。


本当はこの地区は、店らしい建物があまり見当たらない只の山奥の集落同然だったところにも面白さがあったと思います。
だから観光地として発展していくことが少し残念でもあります。
広く知られるようになった場所なので、変化していくことは当然なのかもしれませんが。

しかし、このような場所に住んでいる人達が持っている生活力は保っていてほしいです。
元々は単なる山間の農家の集落で、都市部とは違った時間の流れの中で、つつましくも充足した日々を過ごしてきたのだと思います。
つなぎ無しでこれだけコシのある蕎麦を打てる人が多いのも、そういった生活を送ってきたからだと思います。 
似たような環境で生まれ育った私でさえ、このような山間の集落でしっかりと生活している人達がいれば何か安心だし、うれしくも感じます。




ブログを始めてから一つの節目である三ヶ月が経ちました。
たびたび読んでくださっている方がいるようで、ありがたいです。

これまで色々と書いてしまいましたが、気を悪くされた方がいましたらすみません。

今後もここに住んでいる一個人の観点から会津を紹介していきます。
このブログに目を通した方々にとって、撮った画像や自分の考えなどが何らかの参考になってもらえたらいいと思っております。

特に浜通りや中通りなど同じ県内で会津のことをよく知らない人達にとっても、自分が住んでいる地方にこういうところがあるのだとわかってもらえたら、何か自分を満たせるものが見い出せたのならうれしいです。


それではまたよろしくお願いします。

2013年6月19日水曜日

会津フード記 その2「梅酒(高田梅)」

今は高田梅の収穫の時期です。
高田梅は会津美里町の特産品であり、その実が大きいことで有名です。

 
この高田梅を使った梅酒が「末廣酒造」から販売されています。


中にはその高田梅が入っています。
実は確かに梅としては大きく、スモモとおなじくらいのサイズです。

「ほまれ酒造」でも梅酒が販売されており、こちらは一般的な梅が使用されています。
で、この普通の梅酒と高田梅の梅酒を飲み比べてみました。
「ほまれ」の梅酒は、一般的な梅酒と似ていますがちょっと濃厚な感じもします。
梅酒を好んで飲んでいる人にとっては受け入れられやすいと思います。

これは実が入っていない種類の「末廣」の梅酒。
上の「ほまれ」の瓶もそうですが、中がほとんど入ってなくてすみません。
「末廣」の高田梅の梅酒は、いかにもお酒という梅酒だと感じました。
これと比べると普通の梅酒の方はカクテルっぽい味のように思います。
それと、梅の実から出ているものなのか、ちょっと苦みのようなものも感じられました。

勝手ながら評価をさせていただくと、味は「うまい」です。
商品としては「今後も購入」します。
他の人にも「お薦め」できます。
普通の梅酒に親しんでいる人は、最初これを飲んだ時はちょっと独特な味わいだと感じるかもしれませんが、飲み続けていると好きになってくれると思います。


ネットで調べたところ、この高田梅を使った梅酒(実入り)は「ほまれ酒造」でも販売しているようですが、同じ内容量でも値段がだいぶ違うようです。
何が違うのか、商品自体も見たことが無いのですが、こちらの方が購入しやすい値段なので、今度店頭などで見つけたらぜひ飲み比べてみようと思っています。

「ほまれ酒造」は梅酒以外にもゆず酒やイチゴ酒などの果実酒がありましたが、これらも興味がある商品です。
でもイチゴ酒などは牛乳と1:1で割って飲むといいとのことでしたが、一体どんな味になってしまうんでしょうか。
正直、ちょっと気が進まない飲み方ですが、オロナミンCに卵黄を入れて飲むように、いつかは試してみようかと思っています。

「ほまれ酒造」には、他の種類、たとえば地元で生産されているようなリンゴや梨などの果実酒もぜひ作ってほしいと思います。

2013年6月16日日曜日

水の流れる集落群

北会津町地域(旧北会津村)

 今日は会津若松市内にある北会津町地域を紹介します。
 かつては「北会津村」という名の自治体でしたが、平成16年に会津若松市と合併しました。

 地図で確認すると会津盆地に流れる阿賀川(会津では「大川」と呼ばれている)の西にあり、その広い平野部には水田に囲まれた大小含め30以上もの集落が点在しています。



 それぞれの集落には用水路が整備されており、周辺の川から引かれた水が流れています。


下野地区

安良田地区
 水郷とよばれる地域ほどの規模ではないですが、昔ながらの様式の家屋と倉が多くあり、風景の美しいところが多くあったので紹介します。




 用水路は野菜や道具などを洗うためにも使われており、それぞれの住宅には写真のように水場が設置してあるところが多くありました。


十二所地区
 引かれている川の水は地区によって違うらしく、川沿いで工事でもしているのか水が濁っている地域もありました。


和泉地区


 ところでこの北会津町地域は、父の知り合いがいて、幼い頃は盆や正月などの節にはたびたび訪れていた地域でもあります。


宮ノ下地区

 ですから、この地域に来るとその頃のことを思い出します。

鈴渕地区

 その頃、一度この用水路に落っこちてしまったこともあります。

金屋地区

 用水路に藁でできたマットが浮かべてあったのですが、それに自分はサーフボードのように乗ることができるのだと推測し、実行してしまったのです。


 
真渡地区
 真渡地区の用水路は水草が生えており、小魚も元気よく泳いでいました。

本田地区
 静かな農家の集落ばかりですが、この倉のように趣をこらした建物もあります。


 中にはちょっと独特なお店らしき建物もありました。
 中はどのようになっているのか、何が売られているのか確認していません。
 「アン」という女性の名前らしき文字が看板に書いてあります。
 これは小説などでよく知られている「アン」のことなのでしょうか。
 星条旗によく似た絵が描かれた壁が気になります…。
 たぶん小説の「アン」とは関係ないでしょう。そうであってほしい。



 またこの地域は果物の産地でもあり、果樹園を良く見かけました。北会津産のリンゴは家では毎年のように購入していましたが、とても美味しいです。


 この地域は自転車散策をするにはとてもよい場所だと思います。
 平地が広がっているので走りやすいですし、果樹園以外にも中心部の住宅街には豆腐屋などがあり、小腹を満たすこともできます。
 北会津町地域は範囲が広いのでロードバイクなどで走るのが好きな人にはお勧めできます。

イトヨの住む公園

 この北会津町地区には「イトヨ」という小さい魚の住む「白山沼公園」という名前の公園があります。
 図鑑などで調べてもらった方が分かりやすいと思いますが、イトヨという魚は水草などを利用して鳥のように自分の巣を作るという面白い習性を持っています。



 この公園にある白山沼は古くからこの地域にあったようですが、ここが公園としてこのように整備されたのは私が東京にいる間でした。

 このような場所があることもこちらへ再び住むようになってから知りましたし、自然に近い状態で生息しているイトヨを見るのも初めてでした。

 しかもそれが住宅に囲まれた場所にあるのが驚きでした。

 地元に帰ってきて知ったものの中で、やるじゃないかと、ちょっと唸ってしまった幾つかのものの一つです。

 それでイトヨはというと、この写真の真ん中にいる小さい白っぽい流線型のものがそうです。本当に小さい魚なので、私のデジカメではせいぜいこれぐらいの姿を撮るのがやっとです。

 イトヨの巣も探してみたのですが、どれが巣なのか判別できませんでした。水草が十分に繁殖していたので巣を作る必要がないのかもしれません。

 とりあえず苦労していろいろ撮りましたので、どうぞ見てください。
 姿形は図鑑などではわかると思うのですが、池ではどのような様子でいるかは分かってもらえたらうれしいです。

群れをつくっているときもあります。


 ところで東京の公園について触れたいと思います。
 東京の公園はかなりきれいに整備されていてとても好きな場所でした。

 知らない人は東京の公園というと日比谷公園などようにビルに囲まれ、噴水やコンクリートでできた水場など、整然とした設備がある場所というイメージを持っているかもしれません。
 しかし実際は緑が多く、広々として気持ちのよい場所が多いです。

 都会の中のオアシス的な区域だけあって会津にいた頃でも見たことがないような野生の生き物も多く集まってきてます。
 タヌキを見てあまり驚かなくなったのも、東京に住んでからでした。

 ただ池などの水質は、イメージ通りだと思います。
 それでも、自転車が沈んでいるような池にアロワナが泳いでいたり、ワニが出没したりと面白いですが。

 多摩地域の公園は自然環境が比較的豊かで、かつ洗練されており、また植物園などの文化施設等もあるので参考になるものが多いでしょう。


 しかし、だからといって設計やデザインなどを取り入れても、田舎ではそれほど役には立たないかもしれません。
 
 実際、かなりきれいに整備されている公園や広場を見かけますが、利用している人はあまりいないように思いました。
 ただ、スポーツができる広場など特別な設備がある場所では休日には利用者を多くみかけることはあります。

 やはり田舎では自然が元々周囲にあるので、ただ美しく整備しただけでは特別な区域とはならないのだと思います。
 それに家の中でも窓を開けるだけで涼しい風が入ってくるので、外に出るより過ごしやすいのかもしれません。


 しかし田舎では、整備された公園を造っても意味が無いというわけではないです。
 例えばこの白山沼公園なども見に行ったときは利用しているのは子どもが二人いただけでしたが、しかしイトヨという稀少な生き物の住処になっており、そこで繁殖しているというだけでもかなり価値があると思います。

 
 近所の人は、自分の地域にこのような生物が住んでいるだけでうれしいと思っているのではないでしょうか。
 少なくとも私にとっては会津の中で住んでみたい地域の一つです。
 植物もいいですが、やはりこのような生き物がいた方が楽しいです。


 5月に書いたブログで水田の開発について述べたことがありました。
 子どもの頃とすっかり変わってしまった風景について、ちょっと憂いのコメントをしてしまいました。
 しかし水田などの圃場を開発することは仕方が無いのかとも思っています。

 農作業をした経験がありますが、水田があまり整備されていないところでは、栽培に影響が出ます。
 例えば水が少ないと、下のほうにある田んぼには水がほとんど入ってこなくなってしまいますし、逆に水が多くなると畦が決壊して周辺の水田や畑にまで被害を広げてしまいます。
 
 雨に左右される時期には、頻繁に水田を見に行き水量を管理しなければいけないのですが、農業の担い手が減ってきているこの時代では、今までよりももっと効率的に水田の管理ができる状態にしなければならないのでしょう。

 ですから圃場開発に反対することはできにくいものがあります。

 
 しかし、今までその地域に住んでいた生物などは残ってほしいという願いがあります。それにはそれらの生物が住める場所を造っていけばいいのではないでしょうか。
 それはいわゆるビオトープなどがそうですが、田舎でできることとしては地域の水質を利用したビオトープなどの設備がある公園として発展しなければならないと思います。

 生き物の住処をつくることにどのような意味があるのか、どんな役に立つのか。
 それに対しては、私は家でペットを飼うことと同じようなことだと思っています。一種の地域ぐるみの道楽のようなものだと言えるかもしれません。
 
 もしかしたら学術的には何か一般的には知られないていないような環境への良い影響もあるのかもしれませんし、何か貴重な文化的価値があるかもしれません。

 しかし私は単純に、そこに好きな生き物がいれば楽しいからなのだと言いたいですし、しかもそれらが元気な状態でいるならなおさらだからです。
 イトヨなどは地域で飼っているペットだといえます。
 しかもせまい水槽の中などではなく、自然に近い環境で飼っているのです。

 白山沼公園はそれほど広い敷地ではないのですが、それでも地域の人や私のようなたまにしか来ないような者でも楽しませてくます。

 
 田舎でできる価値ある公園とはこういったものでしょう。
 旭山動物園のように自然に近い状態で生息させながら行動をよく観察できるようなものがあれば理想的だと思います。

 たとえあまり利用されなくても、その地域の希少な生物を保護したり繁殖させたりすることも目的に含まれた公園がもっと、そして他の地域にもあっていいと思います。



 今回の投稿はかなり長くなってしまいました。最後まで読んでくれた人はどれくらいいるのでしょうか。もうしばらくは、こういったのは控えるようにします。

それでは