2013年12月29日日曜日

合唱の恵み

地元の人達による「歓喜の歌」


12月23日に南会津町で、地域住民による第九「歓喜の歌」の演奏会が行われました。
これは南会津町にある文化施設「御蔵入交流館」の開館10周年を記念して、催されたものです。
合唱の参加者はこの日のために、半年かけて練習してきたそうです。


指揮者の方は福島市出身の気鋭な感ある若手の方であり、ソリストもプロの方々が参加していました。
地域の参加者の方々は第九などうまく演奏できるかどうか不安もあったようです。
指揮者の方も、南会津町を訪れるのはこの企画がきっかけだったようであり、このような地方の人達とどれだけの演奏ができるだろうかと戸惑いもあったと思います。


自分はけっこういい演奏になるのではないかという期待がありました。
福島県は合唱が盛んですし、地元の人もそれなりに実力は持っていると思っていました。
そして会場を訪れた時、合唱のリハーサルが聴こえていましたが、やはりすごいことになっていると感じました。


参加者の地域は南会津町の他に隣の下郷町、只見町などからであり総勢150名もの人数で演奏されました。
ステージを見ると学生服を着た若い子から年配の人まで、幅広い年齢層で編成された合唱団でした。


そして本番で実際の演奏を聴いた時は圧倒されてしまいました。
カタカナ語ではなく、しっかりとドイツ語を発音して歌い上げたものでした。
合唱団のその熱意だけでなく、一生懸命努力してきたというものが伝わってきて、始まって間もないうちに胸がいっぱいになってしまいました。
誉め称えるべきものがあり、南会津町だけでなく他の地域の人にも聴いてもらいたかった演奏でした。
あらためて、素晴らしかったといいたいです。


ただ演奏の出来としては、悪い評価を受けるようなところはあったと思います。
たまに演奏が乱れるところもありましたし、オーケストラの演奏もいかにもアマチュアとして割り切らなければならないものでした。

またハプニングもありました。
前半のソリスト四重唱と合唱の部分で、演奏が盛り上がって一旦静まり返る時、曲をあまり知らなかった観客がいたのか、迫力がありすぎたのか、そこで拍手が起きてしまうということがありました。

また、この曲ではフィナーレを迎えるとたいてい「ブラボー」と喝采されますが、今回の演奏もそれが起こってもおかしくないものでした。
しかし先のハプニングがあったせか、ちょっと間があってから拍手と歓声が起こりました。

指揮者の方は少し気落ちして、ステージを後にしたように見えました。
しかし観客はずっと拍手を鳴らし続けていて、指揮者の方はようやくステージに戻ってきました。

指揮者の方はもしかしたら駄目な演奏だったと思っていたかもしれません。
しかし拍手を惜しまない観客の姿は確かに満足そうだったし、そしてステージに立っている人達を心底から賞賛するものでした。
指揮者の方は誇りを感じてほしいと思いました。


アンコールは「花は咲く」という東日本大震災の復興テーマソングとなっている曲で、その日二回目の演奏で、観客達も唄えるように選曲されたものでしたが、曲が終わり切る前に観客席から拍手が起こっていました。
そして演奏会を締めくくるアナウンスが起きたときも拍手が起こりました。
関係者の方々も大成功だったと思ったのではないでしょうか。


思うに、この催しは演奏会というより地域の祭りに近いものがありました。
現在、音楽で一般的に好まれるものはクラシック音楽より歌謡曲やポップスなどの方でしょうし、このような地方の町ではよりそういった傾向があると思います。

その日の観客の人達はほとんどが南会津地域の人だったと思いますが、多くはクラシック音楽など聴かないでしょうし、演奏の途中で拍手があったように第九さえよく知らない人もいたでしょう。
しかし多くの観客を感動させたものでした。


クラシック音楽になじみがない人向けに構成されたわかりやすい演奏会は他にもあります。
しかし、それよりも観客に明らかに強く感動を与え、満足させたのは自分たちで作り上げたものだったからではないでしょうか。
自分たちの家族や知り合いが、皆それぞれ半年間練習して、ステージで高らかに唄ったのです。

プロの演奏だったらこれほどの感動は与えなかったかもしれません。
地域の人達の情熱を捧げた合唱によって、ステージにいるもの、観客、全ての人達が一体となった、そういう演奏会でした。
演奏の出来の良し悪しはどうであろうと、皆で作り上げた演奏会は、その地域の人達に自分たちの力というものを実感させるものだったでしょう。
素晴らしい演奏会だったと思います。



合唱の思い出


ところで前にも述べましたが、我が福島県は合唱が盛んです。

学生達、特に中学生などは自分のその頃とは比較にならないようなレベルの高い演奏をしてくれています。
今年も県内の学生が全国大会で素晴らしい成績を修めてくれたようです。


福島県の合唱について興味がある人へ、特に何かを説明できるものはないのですが、参考までに自分が小さい頃どのように合唱に接してきたかを語ってみたいです。


合唱は他の地域もそうだと思いますが、やはり女子が上手いやつが多かったです。
女子は歌を唄うのが好きなのだと感じていました。
男子は半々でしたが、自分はといえばまんざら嫌いではなく、気に入った曲などは上手に唄えるように努力していたと思います。


林間学校のキャンプで皆で「遠き山に日は落ちて」を唄ったときなど、いい気分になったときもあります。
あと教科書には載っていなかったのですが、音楽の先生が「トランペット吹きながら」という曲を教えてくれて、これは楽しく唄っていた記憶があります。
数回しか唄ったことがないのですが、今でも覚えている曲です。


あと「仰げば尊し」という曲がとても好きでした。
これは自分の学校では卒業生のみが歌う曲でした。

卒業していく先輩が唄うこの曲を毎年うっとりとして聴いていたし、自分の卒業式がなぜか楽しみだったのはこれを唄うことができるからだったかもしれません。
また古語の歌詞などは大人びたものがあり、ときめきを感じていました。
歌詞のある部分に関して批判があるようですが、自分はむろんそんなことなど考えもせずに、卒業式にはしっかりと熱唱させてもらいました。


学校で合唱に打ち込んだことといえば、そのような程度ぐらいです。
でも合唱は皆と一体感が得られ、楽しさがあると感じていました。


振り返ると合唱は自分に確かに影響を与えてきたものだったと思います。

小学生の頃ですが、たしか地域の合唱コンクールに参加するため合唱団が結成されたのですが、上級生の女子で編成されたメンバーで曲は「寒ブリのうた」でした。

ブンブンブリブリと唄いだした時には皆吹き出してしまいましたが、それにもめげず演奏を続ける合唱団は勇ましく、曲のフィナーレでは圧倒されて呆然としてしまったのを覚えています。

そのときの先輩達の姿には憧れを感じさせるものがありました。
合唱には、曲の素晴らしさ以外にも歌い手の生き様の教えてくれるものがあります。
小学生の頃、合唱の練習に努力できたのも、そういう先輩の姿を見てきたからだと思います。
また、逆に自分たちも後輩に対していい演奏をしたいという気にもなったのでした。


そうして自分たちの演奏で他の人が感動してくれるということも、合唱と自分達を結びつけるものでした。

ある作曲家の方が自分たちの合唱を聴きに来られたことがあったのを覚えています。
何でも著名な方がくると聞かされていたので、皆ちょっと緊張してしまいそれほどいい演奏は出来なかったのですが、それでも一生懸命唄ったら、その方はとても感動してくれました(記憶違いでなければ)。

そのことはとてもいい思い出となっていますが、そういう風に誰かに喜んでもらえることによって合唱にますます励むことができたように思います。
そしてさらにいい演奏を聴いてもらおうとして上達することができたのでした。

中学生になったら合唱などは面倒くさく感じるようになり嫌気さえ感じていましたが、教員になるため研修に来た人に聴かせる時などには、それなりに上手に唄うように努力していたと思います。


そういうふうにして、自分にとって合唱は皆と一体感を得るような楽しいものであるという他に、自分たちを相手に伝えるという一種の自己表現のようなものでした。

学校にとっては先輩が後輩に対して生き様を教える行為であり、後輩もそれに応え、さらにはまたその後輩に伝えて行くという生徒間のコミュニケーションのような活動だったと思います。



今、福島県の中学生、高校生の合唱の活躍を見ると、本当に感心してしまうものがあります。
そして演奏を聴いていつも感動してしまいます。

そういった学生の姿を見て、恥ずかしながら自分もこうなりたいものだと思ってしまいます。
人生のだいぶ後輩である連中に、あるべき姿というものを教えられているように感じています。
これからちょっとでも、それに近づけるようにしていきたいです。



今年も残すところわずかになってきました。
ブログもようやく終盤を迎えることになります。
なるべく楽しめるようなものにしていきたいです。


それでは来年もよろしく

2013年12月22日日曜日

クリスマスを迎えて

クリスマスまで、もうすぐです。


会津には各地にキリスト教の教会があり、特に会津若松市内では人口の割にけっこう数が多くあると思います。

教会などはあまり行ったことが無い場所です。

地元の教会ではクリスマスに向けてどのような準備をしているのか、何か珍しい飾り付けなどあるだろうかと興味があったので各所を見てきました。


で、特にそれほどたいしたものはありませんでした。



飾りといえば、玄関にリースがあるくらいでした。

ここは喜多方市にある教会ですが、樅の木には飾りらしきものもありませんでした。
ちょっと残念です。
立派な樅の木だったので、クリスマスの日には何か少しでも飾りを付けるのであればぜひ見てみたいです。


この日(今日)は冬至でしたが、礼拝も行われていました。

こちらの教会では中から子ども達が歌を唄っているのが聴こえてきました。

「みんなのうた」で紹介されるような今風の歌でしたが、楽しそうでクリスマスが舞台の物語に出てくる子どものように憧憬してしまいました。
中ではツリーが飾られているようでしたが、できれば覗いてみたかったです。


各教会の飾り付けは意外なくらい素朴なものでしたが、何か慎ましさが感じされてクリスチャンの人達が、クリスマスという行事に対してどのような想いを抱いているのか分かったように思います。



ところで、もっとにぎやかなものが見たいという人へ

地元でもこの時期はささやかではありますが、イルミネーションが飾られています。


その中でも紹介したいのは、喜多方市の山都町地域にあるJR磐越西線の一の戸橋梁です。

本日と明日ですが日没からライトアップされます。



なかなか見応えあるものでした。


列車が通るのを待ってみたくなりました。
待っている間は鉄道ファンの心境になってしまいました。

そして、
これが精一杯です。

鉄道写真マニアの人はきっと怒りが生じているかもしれませんがご勘弁願いたいです。


それではよいクリスマスを!

2013年12月18日水曜日

会津フード記 その14「鮭」

もうすぐ大晦日のこの時期、スーパーなどでは新巻鮭が売られ始めます。
特に会津だけの食べ物ではないのですが、地元で食べていたものの中で印象深いものだったので今回は取り上げました。

毎年この時期には購入するか、頂くかして蕎麦と同じく恒例の食べ物でした。
新巻鮭は塩辛くて、普段スーパーでいつでも売られている鮭の方が美味しいと思っていました。
しかしこの時期に食べる鮭は何か特別な感じがしました。


新年を迎えるこの頃、地元ではこの鮭を使った風習があります。
口の中に尾びれを挿した鮭の頭を神前にお供えするというものです。
(どのようなものか後ほど画像を追加します。)

※鮭のお供え物がなかなか見つからなくて撮影できませんでした。
[会津 鮭 頭 尾]で画像検索すると見れると思いますので、すみませんがそれでご確認ください。
2014/1/8


実家でも毎年神棚に飾られていましたが、不思議な雰囲気があり、小さい頃ずっと見入ってしまったのを覚えています。
そのお供え物のせいか、鮭は何か威厳のようなものを感じさせます。


鮭といえば新潟県の村上市が有名でしょう。

これは地元のあるお店で干していたものですが、尋ねたところ村上市の知り合いの方から教わったものらしいです。
村上市は鮭を使ったさまざまな料理があることで知られています。
塩引き鮭など見るからに実にうまそうです。


ところで地元で鮭を使った料理といえば、わっぱ飯くらいでしょう。

今回は喜多方市にある「会津田舎家」というお店で頂きました。
わっぱ飯については一応地元の名物らしいですが、郷土料理として見られ地元の人もたまにしか食べないのではないでしょうか。

私も地元に住んでいた頃は食べた記憶がほとんどありません。
どのような料理かは知ってはいたのですが何か難しい印象がありました。

しかし食べてみると手軽で実においしい料理です。

地元に帰ってきてわっぱ飯を食べるのは二度目ですが、もう少し値段が安ければ食べる機会が増えると思います。
それと、これにかけそば(小)が付いたセットがあったら腹も満たせて若い人にも喜ばれるではないでしょうか。

こちらのお店では「鮭のムニエル」などもありました。
ポテトが包んであってなかなか凝った料理でした。

ご主人に尋ねたところ、鮭を使った料理は他にもできるらしいです。
どんな料理があるのか期待が膨らんでしまいますが、とりあえずけっこう好きな鮭フライが食べてみたいです。

わっぱ飯以外にも鮭を使った料理が地元で定着すればいいと思います。

2013年12月8日日曜日

雪の季節

昨日から今朝にかけて、地元では本格的な雪が降りました。

猪苗代町、磐梯町では、一面雪景色となっていました。

5センチくらいは積もったようです。
雪があまり降らない地域であれば、学校は休みになっていることでしょう。


しかし会津は豪雪地帯であり、これくらいはまだたいしたことではありません。
これから本格的な雪国の季節が始まります。


会津若松市内からの飯豊山:11月9日撮影
会津では11月頃から冠雪を目にします。

11月23日撮影
そして奥会津など山間地域の日差しが弱いところでは、そのまま積雪が残り続けます。
かなり山奥の地域では5月頃まで雪が残り、つまり一年の約半分は雪が周辺にあることになります。


本日は会津若松市周辺ではまだ雪は積もっていない状態でしたが、磐梯山周辺では目立って雪の影響を受けていました。


これから年明けには大雪も降ることになるでしょう。

「大雪が降る」とはどのような状況か。
デジカメでその様子を収めたのがあるので、ご覧になってください。

これは平成19年3月中旬に降った季節外れの大雪の様子です。

ここは実家がある地域ですが、午後になって突然雪が降り始めました。









夕方頃には一時降雪が止みました。










しかし夜になってから降りが強くなり始め、

翌朝にはこのような状態になっていました。

降雪量は30センチ近くあったと思われます。

もっと山奥では1日で50cm以上に達することも珍しくない地域もあります。

驚いてしまった人もいるかもしれませんが、大雪が降るとはこのようなことです。

このような積雪は今年もこれから何度かあるでしょう。

雪の量が多くなると雪片づけなど何かと面倒なことをしなくてはなりません。
屋根の雪下ろしなどは事故などもあり、大変な作業です。
特にこちらに帰ってきて自分の車を所有するようになってからは、雪への苦労を強く実感しています。
朝は、車にまとわりついた雪を払いのけないと出発できないのです。


しかし雪は嫌いではありません。
晴れた日の雪景色は本当に綺麗です。

それに積もりたての新雪の上を歩くのは結構楽しくも感じます。


朝ラー(喜多方市にて)
そしてこれはちょっとわざとらしいアピールになりますが、雪に囲まれた環境の中では温かい食べ物がとても美味しく感じます。



4月のブログをご覧になるとわかると思いますが、去年降った雪は春になっても残っているので、今後紹介していく地元の風景は雪ばっかりのものになるでしょう。
雪景色に興味がある人にとって、よい風景が撮影できるようにしていきたいです。

2013年12月4日水曜日

会津フード記 その13「身知らず柿」

今年も早いもので師走に入りました。

この時期、地元では名産である身知らず柿が出回ります。


名前の由来の通り、この柿の木にはかなりの実がつきます。

このあざやかな色に魅かれて一口かぶりつくものなら、かなりつらいことが口の中で起きるでしょう。

これらは全部渋柿です。



身知らず柿はそのままでは食べることができません。
箱に入れた果実に焼酎をかけてしばらく置くと渋さが消えて、ようやく食べることができるようになります。

私も小さい頃は普通の柿と渋柿の区別などは見かけでは判断できなかったので、たびたび文字通り苦渋を味わいました。


身知らず柿は毎年のように、お歳暮として箱で贈られてくるものでした。
毎年恒例の果物なので、この柿に関してはもう十分食べてきた感があります。
正直言うと、箱が半分くらい減ったところで、普通の柿が食べたくなってきます。

今回、どうせならということで大玉の少々値段の高いものを購入してみました。

値段相応で、この身知らず柿は今まで食べてきたものより美味しかったです。
人に勧めるとしたら、やはりこういった大玉の身知らず柿です。


さて、柿は生で食べる他に干し柿など菓子として食べられます。

柿を使った菓子はどのようなものがあるか調べてみると、柿を使った餡などがあったり、とても美しく作られた干し柿などがあるようです

身知らず柿はというと、スライスしたものを乾燥させたものがあったので、購入してみました。

見た目は何か海産物の干物のようにも見えてしまいます。

最初食べたときはちょっと首をかしげてしまいましたが、何枚か食べたら干し柿とほとんど変わらない味だと分かりました。
個人的には干し芋ぐらいの厚みにした方がいいと思いました。
ともかくお茶とはよく合いそうです。


柿はこの季節のお茶菓子としてもっとさまざまな商品が作られてほしいです。
干し柿も、柿の種類、製法などもっと種類が増えればいいと思います。

これからの時期、こたつ生活を送る人達にとって、ぜひとも魅力的なものにしていくべきでしょう。