2014年1月19日日曜日

新春の伝統行事 〜十日市・歳の神〜

十日市


一月も半ばを過ぎましたが、小正月までには会津の各地で様々な新春の行事が行われました。

それらの行事で代表的なものは初市や歳の神という火祭りですが、まずは会津若松市で行われた十日市を紹介します。


十日市には今回初めて訪れました。


ところでこの時期の各地の行事は初めて見るものばかりでしたが、なぜ自分の地元なのに知らないことばかりなのか疑問に思われる方もいるかもしれません。

実家にいた頃は、この冬の時期は積雪のため他の地域に行くということがとても面倒なことになり、休日などは雪片付けか近場のスキー場で一日を過ごすという生活であり、会津に住んでいながら本当に他の地域のことはわからないでいたのです。


さておき、街中では盛り上がりを見せ、多くの人達で賑わっていました。

初市らしく正月の飾り物や、縁起物などが売られています。

 地元を代表する初市の縁起物としてはこの「起き上がり小法師」という玩具です。

この縁起物の露店は多く見かけました。
毎年、父親が土産に買ってきたのですが、このようにして売られているというのは初めて知りました。

市神などが祀られているのを見ると伝統行事という雰囲気が感じられます。


地元の野菜や焼き物などの特産品の露店もありました。

末廣酒造さんが甘酒を振る舞っていましたが、これはかなり美味しかったです。
地元の大手酒造メーカーの作る甘酒はやっぱり違うと思いました。
この日のいい思い出のほとんどはこの甘酒だったかもしれません。


ところで十日市では食べ物の露店がほとんどでした。
初市らしい雰囲気を作る縁起物や地元の特産品などの店は印象が薄いものとなっていたように感じました。
特に興味を惹いたものなどはあまりなかったように思います。

とりあえず冬場に金魚すくいというのもなかなか珍しいものを感じたので、撮影してしまいました。


にぎやかであるのはいいのですけれど、もう少し会津らしい地域性が感じられるものであったら良かったと思いました。


十日市では奥会津地域からの人達も参加していたようでした。
昔も、山間部などの遠方からも多くの人々が集まり都市部の人達と交流する社交の場であったのでしょう。
また他の地方の特産品など初めて見るような珍しいものに触れたりして、これからの生活に何か期待を膨らませたりもしたのだろうと思います。


単に露店を食べ歩くような催しになってしまうのではなく、訪れる人達が活気づくような初市であったらいいと思います。



歳の神


小正月の時期になると全国各地では火を焚く風習があるようですが、地元にもそういった行事があり「歳の神」と呼ばれています。

小さい頃過ごした実家のある地域でも各地区ごとに行われていました。

今回は他地域の歳の神を見てみたいと思い、各地を見物してきました。

まず芦ノ牧温泉の歳の神を紹介します。

火を焚くやぐらは一般的な円柱形のものです。

正月飾りなどがたくさん付けられていました

屋台も出されており餅や甘酒が振る舞われていました。
餅はさっそく頂戴し、遠慮なくおかわりもさせていただきました。

点火には年男、年女の人が選ばれ、人数が足りなければ厄年の人が加わります。

いよいよ点火されました。

雪が降りしきる会場でしたが、炎が燃え上がると周りがかなりあったかくなります。

骨組みの竹が爆裂する音がすると、子どもは火事だ花火だと興奮していました。

炎で餅やイカなどを焼きはじめる人もいます。

温泉街だけあって観光客の人もいましたが、満足してもらえたのではないかと思います。



こちらは東山温泉の歳の神です。
やぐらは竹でかこった独特なもので、中はほとんど縁起物、飾り物が詰まっていました。

点火前には宮司の方によるお祓いが行われました。

点火の様子です。

会場では露店も多く出ていて、今どきの流行曲などもBGMとして流れていましたが、伝統行事というよりイベントに近いように感じました。
ちょっと自分が抱いている歳の神のイメージとは違っていました。
でもやぐらが大きいだけあって炎は豪快でした。



自分の実家がある地域でも行われていた歳の神のイメージは三島町のものに見られます。
三島町の歳の神は重要無形文化財に指定されていて、いかにも伝統的な雰囲気があります。
町内でも各地区ごとにそれぞれ行われており、やぐらも独自の形状でした。


これは名入地区の歳の神です。


やぐらがほとんど藁でできているので火の粉が激しいです。

炎で焼くのは餅やだんご以外に大抵はスルメの干物ですが、この人の用意したのはイカの一夜干しのようです。
これで一杯やるつもりなのでしょう。

周りで見ている人にはみかんを配ってくれます。
自分が子どもの頃見てきた歳の神はこのようなものでした。


他の地区の歳の神ではやぐらが10m以上もあるような大きなものもありました。
これは大登地区の歳の神です。


点火すると数分の内にてっぺんの紙垂まで達しました。

これだけ大きくても大体30分くらいでほとんど形が崩れ始めます。


三島町の歳の神に興味を持った人へ自分が薦めるとしたら宮下地区で行われるものです。
ここのやぐらは他には見られない独特な形をしていました。
箱形で杉の葉で覆われています。

点火するための火は近くにある三島神社から運ばれます。
儀式的なものを感じてワクワクしました。


点火するまで興奮して待ちきれない近所の子ども達は、階段を滑り台にしていました。


そして点火です。

このやぐらは火が燃え上がるまでけっこう時間がかかりました。


甘酒を飲みながらじっくり待ちました。


炎が大きくなるとこのようになります。

三島神社が近くにあるので、非常に絵になる風景の歳の神でした。
宮下地区は三島町の中心部にあり駅から近いので、観光客の人も見物しやすいと思います。

歳の神は穢れを払うと言われていますが、たしかにこの大きな炎を浴びていると何か清々しい気分になるのを感じます。


現在では火事になることを危ぶむのか、歳の神を行う地域が減ってきているようです。
実家の地域でも以前は三島町と同じ15日に行われていましたが、帰りに寄ってみたところやはり行われていないようだったので寂しく感じました。
小規模なものになってもいいので、毎年行ってほしいものです。


各地の歳の神を見て実感しましたが、やはりその地域の人達に新しい年を生きていくための元気を与えているのだと信じさせるものがあります。




来週は会津の三大奇祭を紹介します。