2013年10月6日日曜日

只見川の今を見つめて:前編

今月は只見川を特集します。

只見川は尾瀬地域を水源としている川であり、奥会津地域を貫き、大川(阿賀川)へと合流しています。

私の実家がある地域を流れる川であり、小さい頃からその流れを眺めつつ親しんできました。



只見川はその地理的条件から水力発電に適しているらしく、戦後には都市部へ電力を供給するために大規模な電源開発がなされました。
只見川の特徴としては、それらのダムが多く見られることです。

撮影;7月上旬頃

早戸温泉
また他の特徴としては、川霧がよく発生することです。

柳津町(奥は円蔵寺)
因果関係はあるかどうかわかりませんが、一昨年、平成23年の豪雨の被害がある数日前などは昼間に橋にまで届くくらいのの高さの川霧が流れてきたのを目撃しました。


その大洪水よって奥会津地域は甚大な被害を受けましたが、私もその時には現場にいました。
只見川及びその支流はみるみるうちに水かさが増えてきて、見たことが無い川の高さを目の前にしました。

生前ですが、昭和31年にも同様の只見川の水害があり、父が「水が家の側まで来たんだ」と言っていたことがありました。

それがどういうことなのか理解できたのはその時で、家の近くに支流が流れていたのですが、いつのまにか堤防のこちら側のふもとに大きな水たまりができていたのです。
その水たまりがゆっくりじわじわと大きくなっていき、やがて辺一面に広がり、家の基礎台の付近まで来たのでした。

幸い寸前のところで増水は収まりましたが、私の家より下にあった方は床上浸水の被害を受けました。

昭和31年のときもそうでしたが、今回の被害の原因はダムの影響があったのではとの記事を見かけました。
それは確かに考えられることです。

しかし江戸時代にも甚大な被害を与えた洪水が起きたことが記録されており、いずれにせよこの地域は今後も何らかの水害に見舞われる可能性があります。

水害対策として平成21年から只見川護岸工事事業が行われていたようです。
今回の水害はその最中に起きたことになりますが、東日本大震災、原発事故、そしてこの水害と立て続けに大災害に見舞われましたが、今思えばよく皆凌いだものだと感にふけるものがあります。


これから只見川の現在の様子を紹介して行きますが、今回はあまり乗り気でないブログになりそうです。

なぜなら昔から親しんでいた姿とはだいぶ変わってしまっているからです。

こちらにたびたび帰郷した時、感じていたことですが濁りが目立つようになってきています。
ちなみに写真は台風の後でしたので余計に濁っています。

昔はもう少し澄んだ緑色の反射が見られる川でしたが、近年は少し白っぽい濁りがあるような感じがします。
雨上がりには一週間も経たないうちに濁りが戻ったものですが、現在はなかなか戻らないでいます。
小さい頃に見ていたことのある色はここしばらくは見たことがありません。

平成に入ってからも台風などの被害で川が氾濫していたようです。
帰郷した時、茶色になった川の上に多くの樹木が漂っているのを見て愕然としたことがありました。
湾曲した地形の多くある川であり、しかも砂岩でできた川岸が多く見られるので、長年の歳月によって必然的にそのような状態になってしまったのかもしれません。
何にせよ、かなり変わってしまったのは残念が気持ちがあります。


ところで柳津町には魚渕というところがあり、ここはウグイという川魚が群生しており天然記念物に指定されています。

今ここを訪れてみる人には信じられないかもしれませんが、昔はこの魚渕や支流の銀山川付近に水面の色が黒く見えるくらいびっしりとひしめきながら泳ぐ群れが見られました。

ウグイの群れをまた見たいと思い、エサ(麩)を投げ入れてみました。
以前はエサが水面に落ちた瞬間、ウグイの群れがいっせいに集まってきたものでしたが現在ではまったく反応がありませんでした。
ウグイの群れが見かけなくなったのは知っていたのですが、全くいなくなったわけではないと信じてエサを入れ続けていました。

しばらくするとどこからか鯉が現れてきました。
最初エサを食べるのはその鯉だけでした。


しかし、やがてウグイらしき魚影も数匹でしたが見え隠れするようになりました。

しかしエサである麩の味を忘れてしまったのか最初は近づくだけでそれほど食べませんでした。
鯉だけがあいかわらず落葉までも見境い無く食べています。


しばらくすると少しづつですが、ウグイも徐々に姿を見せる数が多くなってきました。


何とかウグイを餌付けしようと思い、一時間ほど粘ってエサを与え続けていたら、やがてどこからか大量のウグイが集まってきました。
鯉がエサを食べているのに刺激されてやって来たのかもしれません。

エサを与え続けたら、ようやくこのような群れになりました。
昔よく見ていた魚渕の光景はこのようなものです。

しかしこれでもだいぶ少なくなったものだと言わざるを得ません。
それでもウグイ達がまだ生息していることが分かり、とても嬉しかったです。



今回のブログは只見川の、その気になっている濁りや、水害の跡、復旧(復興)の状況を観察しつつ紹介していきます。